処暑 初候 綿柎開 わたのはなしべひらく

イチジク(無花果、映日果 Ficus carica L. )
原産地に近いメソポタミアでは6千年以上前から栽培されていたことが知られている。地中海世界でも古くから知られ、エジプト、ギリシアなどで紀元前から栽培されていた。古代ローマでは最もありふれた果物のひとつであり、甘味源としても重要であった。最近の研究では、ヨルダン渓谷に位置する新石器時代の遺跡から、1万1千年以上前の炭化した実が出土し、イチジクが世界最古の栽培品種化された植物であった可能性が示唆されている。
日本には江戸時代初期、ペルシャから中国を経て、長崎に伝来した。日本に古く渡来したのが在来種で、のちに果樹として洋種が栽培されている。当初は薬樹としてもたらされたというが、やがて果実を生食して甘味を楽しむようになり、挿し木で容易にふやせることも手伝って、手間のかからない果樹として家庭の庭などにもひろく植えられるに至っている。