ホテイアオイ(布袋葵 Eichhornia crassipes)

単子葉植物ミズアオイ科に属する水草である。南アメリカ原産で、水面に浮かん
で生育する。花が青く美しいので観賞用に栽培される。別名ホテイソウ、ウォー
ターヒヤシンス。 
花が美しい水草なので、日本には明治時代に観賞用に持ち込まれた。路地での金魚飼育などの場合、夏の日陰を作るのによく、またその根が金魚の産卵用に使えるので便利である。水面に浮かぶので、水槽での栽培には用いられない。
世界の熱帯・亜熱帯域に帰化し、日本では、本州中部以南のあちこちで野生化している。寒さに弱く、冬はほとんど枯れるのだが、一部の株がわずかに生き延びれば、翌年には再び大繁殖する。繁殖力が強く、肥料分の多い水域では、あっという間に水面を覆い尽くし、水の流れを滞らせ、水上輸送の妨げとなり、また漁業にも影響を与えるなど日本のみならず世界中で問題となっていて、「青い悪魔」と呼ばれ恐れられている。冬季に大量に生じる枯死植物体も、腐敗して環境に悪影響を与える。さらに、水面を覆い尽くすことから、在来の水草を競争で排除する事態や水生動物への影響も懸念される。また、アレロパシーも有する。
このため、国際自然保護連合(IUCN)種の保全委員会が作成した 世界の侵略的外来種ワースト100(100 of the World's Worst Invasive Alien Species)
に選ばれている。ただし、日本ではホテイアオイは特定外来生物による生態系等
に係る被害の防止に関する法律において、特定外来生物には指定されていない。